陽子線治療とは

放射線治療で一般的に用いられるのは、エックス線やガンマ線など光子線と呼ばれる電磁派を用いた治療です。陽子線はじめとする粒子線は、高エネルギー原子核の流れであり、放射線のひとつです。
水素の原子核である陽子を加速しエネルギーを高めた陽子線を用いた治療が陽子線治療です。

水素の原子核である陽子を加速しエネルギーを高めた陽子線

陽子線治療の特長

体内での放射線分布の違い(いわゆる「ブラッグピーク」)

陽子線は、エックス線と異なり体内を一定程度進んだ後、急激に高いエネルギーを周囲に与えそこで消滅します。この性質(ブラッグピーク)を利用することで、がん細胞に集中して高いエネルギーを与え、周辺の正常細胞に与えるエネルギーを少なくするよう線量等を調整することができます。

がん細胞に対して、ピンポイントで高線量の照射による高い治療効果が期待でき、また正常組織に対する障害減が可能になり、発育・発達障害、二次がん等の晩期合併症のリスクを最小限に抑えた治療が行えます。

放射線治療のイメージ図

放射線治療イメージ

各種放射線の線量分布

各種放射線の線量分布グラフ

陽子線治療の説明Movie

適応疾患

疾患治療期間初診時に望まれる資料
頭頸部癌6-7週頭頸部CT、頭頸部MRI、FDG-PET、腫瘍マーカー、病理所見
肺癌2-8週胸部CT、脳MRI、FDG-PET、腫瘍マーカー、肺機能検査、病理所見
胸腺腫瘍術後6週胸部CT、病理所見、手術記録
縦隔リンパ腫3-4週胸部CT、FDG-PET、病理所見
食道癌6-7週胸部CT、FDG-PET、食道内視鏡、腫瘍マーカー、病理所見
肝癌2-8週胸腹部CT、腹部MRI、腫瘍マーカー
膵癌5-6週胸腹部CT、腹部MRI、FDG-PET、腫瘍マーカー、病理所見
直腸癌再発7週腹部CT、FDG-PET、腫瘍マーカー、手術記録
前立腺癌4-5週骨盤部MRI、胸腹部CT、骨シンチ、腫瘍マーカー、病理所見
骨軟部腫瘍6-7週CT、MRI、FDG-PET、病理所見
小児がん3-7週CT、MRI、病理所見(神経芽腫はMIBGシンチ含む)

※「治療期間」は目安です。個々の症例や状態により異なります。
※「初診時に望まれる資料」はすべてそろっている場合は治療への準備がスムースに進みますが、すべて受診前に必須という意味ではありません。

陽子線治療で治療できない癌

陽子線で治療できない代表的な癌は胃癌、大腸癌、子宮癌、皮膚癌などです。ただし、大腸癌の術後再発については適応になる可能性があります。
照射範囲は15*20cmです。病変の広がりもその範囲に入ることが理想的ですが、それを超える場合も照射範囲をつなぎ合わせて対応することも可能です。
広範囲のリンパ節転移や、他の臓器への遠隔転移を伴う症例は適応になりにくいです。ただし、症例により異なりますので当センターにご相談ください。
入院しての化学療法の併用が必要な患者さんは、近隣の病院に入院しながら当センターへ通院するか、たつの市の兵庫県立粒子線医療センターに紹介となる場合があります。